おととし(令和3年)、母親がいる住宅に火をつけて全焼させたとして、現住建造物等放火の罪に問われた息子の裁判、で山口地方裁判所は、「犯行は危険で悪質であり、動機や経緯にくむべき点がない」などとして、懲役3年6か月の判決を言い渡しました。
住所不定で無職の中島義和被告(35)は、おととし5月、母親がいる山口市の住宅でアルコールをまき、ライターで点火して全焼させたとして、現住建造物等放火の罪に問われました。
被告は、解離性同一障害という複数の人格が存在する障害があり、犯行当時の責任能力が争点となっていましたが、検察側は、医師による鑑定の結果、病気の影響はほとんどないとしたうえで懲役6年を求刑していました。
一方、弁護側は、犯行時は別の人格が出ていて記憶がない部分もあり、自身の意志で行動を選択できなかったなどとして無罪を主張していました。
15日の判決で、山口地方裁判所の安達拓裁判長は、「被告人の精神症状が、犯行当時の被告人の善悪を判断する能力や行動をコントロールする能力を失わせたり、著しく低下させたりすることはなかった」などとして、完全責任能力があったと述べました。
そのうえで、「犯行は危険で悪質であり、動機や経緯にくむべき点がない」などとして、懲役3年6か月の判決を言い渡しました。